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リスクアセスメントのやり方

職場の危険を洗い出し、その大きさ(リスク)を見積もって、対策の優先順位を決める手順です。厚生労働省の指針に沿って、中小企業の安全衛生担当者の方向けに流れを説明します。

最終更新日:2026年10月17日

リスクアセスメントとは

職場にある危険性や有害性を見つけ出し、それによって起こりうるけがや病気の「重さ」と「起こりやすさ」を見積もって、どの危険から、どんな対策をとるかを決める取り組みです。

労働安全衛生法第28条の2で、事業者の努力義務とされています。進め方は、厚生労働省の「危険性又は有害性等の調査等に関する指針」(平成18年3月10日)に示されています。このページは、この指針をもとにしています。

このページの対象:機械・設備・作業などによる、けがのリスクアセスメントです。化学物質(SDS の交付対象となる物質など)のリスクアセスメントには別の決まりと手順があるので、厚生労働省の化学物質の資料をご確認ください。

いつ行うか

指針では、次のときに行うこととしています。

  • 建物を建てる・移す・変える・解体するとき
  • 設備を新しく入れる、または変えるとき
  • 原材料を新しく使う、または変えるとき
  • 作業の方法や手順を新しくする、または変えるとき
  • リスクが変わった、または変わるおそれがあるとき(労働災害が起きて前回の調査に問題があったとき、前回から時間がたって設備が古くなった・人が入れ替わった・新しい知見が得られたとき、など)

新しい設備や作業では、作業を始める前に対策を済ませておくことが求められています。計画の段階で行っておくのが望ましい、ともされています。

だれが行うか

  • 事業場のトップ(総括安全衛生管理者など)が全体をまとめる
  • 安全管理者や衛生管理者などが、実施を管理する
  • 安全衛生委員会などを活用して、働く人も加わる
  • 作業をよく知っている職長などに、危険の洗い出し・見積もり・対策の検討をしてもらう
  • 機械設備などは、専門の知識がある人にも加わってもらう

担当者ひとりで机の上で済ませるのではなく、現場の人の目を入れるのが要です。

手順

  1. 危険性・有害性を見つける作業を洗い出し、それぞれの作業にどんな危険があるかを書き出します。ヒヤリハットや過去の災害の記録が手がかりになります。
  2. リスクを見積もる起こりうるけがの重さと、起こりやすさを点数などで見積もります(下の「リスクの見積もり方」)。
  3. 優先度を決めて、対策を考える見積もったリスクの大きい順に優先度を決め、対策の中身を考えます。
  4. 対策を実施する優先度の高いものから実施します。
  5. 記録する結果を記録します。働く人にも知らせておくと、決めた対策が守られやすくなります。

リスクの見積もり方

指針は、見積もりの方法を1つに決めていません。指針の本文は、組み合わせの表を使う方法や、点数にして足したり掛けたりする方法などを挙げています。ここでは、厚生労働省のサイトに掲載されている「リスクアセスメント評価基準(例)-安全編-」の、3つの点数を足す方法(加算法)を紹介します。

① 重篤度(けがの重さ)
区分点数目安
致命傷10死亡、失明、手足の切断などの重篤な災害
重傷6骨折など長期の療養が必要な休業災害、障害が残るけが
軽傷3上記以外の休業災害(医師による措置が必要なけが)
軽微1表面的な傷害、軽い切り傷や打撲(赤チン災害)
② 発生の可能性
区分点数目安
確実である6かなり注意力を高めていても災害になる
可能性が高い4通常の注意力では災害につながる
可能性がある2うっかりしていると災害になる
ほとんどない1通常の状態では災害にならない
③ 危険性・有害性に近づく頻度
区分点数目安
頻繁4毎日、頻繁に立ち入ったり近づいたりする
時々2故障、修理・調整などで時々立ち入る(週1回〜月1回)
ほとんどない1立ち入りや接近はめったにない(年1回程度)
リスクレベル(①+②+③ の合計=リスクポイント)
レベル合計意味
Ⅳ12〜20直ちに解決すべき問題がある
Ⅲ9〜11重大な問題がある
Ⅱ6〜8多少問題がある
Ⅰ3〜5許容可能

評価基準(例)には、重傷 6 + 可能性がある 2 + 時々 2 = 10 点(Ⅲ)という計算例が載っています。

業種によっては、同じ点数でも目安の書き方が違う表が使われています(たとえば職場のあんぜんサイトの「自動車整備業におけるリスクアセスメントのすすめ方」では、頻度を「1日に1回程度」「週に1回程度」「半年に1回程度」と表しています)。社内で決めた表があれば、それに合わせてください。

見積もりの例

倉庫の通路の曲がり角で、台車を押す作業者と歩行者が出合い頭にぶつかるおそれがある。

  • 重篤度:台車に足をひかれて骨折するおそれがある → 重傷 6
  • 可能性:角の先が見えず、ふつうに注意していてもぶつかりうる → 可能性が高い 4
  • 頻度:毎日何度も通る → 頻繁 4

合計 14 点で Ⅳ。台車と歩行者の通路を分ける、角にミラーを付けるなどの対策を、次の節の優先順位に沿って検討します。

対策の優先順位

指針では、法令で決められていることは必ず実施したうえで、次の順に対策を検討するよう示しています。

  1. 危険そのものをなくす・減らす(本質的対策)設計や計画の段階で、危険な作業をやめる、より安全な方法や材料に替える。
  2. 設備で守る(工学的対策)インターロック、局所排気装置、柵、カバーなど。
  3. 決まりと教育で守る(管理的対策)作業手順書の整備、教育、表示など。
  4. 保護具で守る(個人用保護具)ヘルメット、保護めがね、墜落制止用器具など。上の対策で下げきれないリスクに使います。

費用や手間が、リスクを下げる効果とくらべて大幅に大きく、釣り合わない場合を除き、できるだけ上の順位の対策をとることが求められています。また、死亡や後遺障害、重い病気につながるリスクで、適切な対策に時間がかかるときは、すぐに暫定的な措置をとることとされています。たとえば、立入禁止や作業の一時中止などです。

記録に残すこと

指針では、次のことを記録することとしています。

  • 洗い出した作業
  • 見つけた危険性・有害性
  • 見積もったリスク
  • 決めた対策の優先度
  • 実施した対策の内容

あわせて、対策をとったあとのリスクも見積もり直して残しておくと、次の見直しのときに役立ちます。

つまずきやすいところ

  • 保護具や注意喚起だけで終わる。保護具や表示は最後の手段です。まず危険をなくせないか、設備で守れないかを考えます。
  • 対策後に重篤度を下げすぎる。注意喚起や教育では、起きたときのけがの重さは変わらないことが多いものです。重篤度が下がるのは、危険そのものが小さくなったときです。
  • 一度やって終わりにする。設備や作業が変わったとき、災害が起きたとき、人が入れ替わったときは見直します。

安全ヨシでは

  • 気づきから始められます。現場で記録したヒヤリハットや危険予知の写真・5W1H・事故の型を、そのままリスク評価に引き継ぎます。
  • 標準評価は、このページの評価基準(例)と同じ表です。重篤度(アプリでは「重大性」と表示します。10・6・3・1)、可能性(6・4・2・1)、頻度(4・2・1)を選ぶと、合計でⅠ〜Ⅳを表示します。会社で ○△× 方式を使っている場合は、最初の設定で選べます(あとから変えることはできません。○△× 方式はⅠ〜Ⅲの3段階です)。
  • 重大性の選び方を助けます。想定される傷病を選ぶと、推奨の点数を示します。推奨と違う点数にしたときは、理由をメモに残すよう案内します。
  • 対策は本質・工学・管理・保護具に分けて入力します。保護具を選んだときは、上の対策をとれなかった理由の入力を求めます。
  • Ⅳのときは暫定措置を記録できます。作業停止・立入制限などをとったかを残せます。
  • 委員会の資料にできます。リスク評価の進み具合を、Excel や PowerPoint に書き出せます。

App Store で近日公開

出典

  1. 厚生労働省「『危険性又は有害性等の調査等に関する指針』を公示」(2006年3月10日)
    https://www.mhlw.go.jp/houdou/2006/03/h0310-1.html
  2. 同 別添1「危険性又は有害性等の調査等に関する指針」
    https://www.mhlw.go.jp/houdou/2006/03/h0310-1a.html
  3. 同 別添2(リスクの見積もりと優先度の設定の例)
    https://www.mhlw.go.jp/houdou/2006/03/h0310-1b.html
  4. 厚生労働省 掲載資料「リスクアセスメント評価基準(例)-安全編-」
    https://www.mhlw.go.jp/content/11300000/001414141.pdf
  5. 厚生労働省 職場のあんぜんサイト「自動車整備業におけるリスクアセスメントのすすめ方」リスクの見積り(業種別の表の例)
    https://anzeninfo.mhlw.go.jp/risk/seibi08_05.html

このページは一般的な進め方の解説です。個別の事業場で法令上どのような対応が必要かは、所轄の労働基準監督署や専門家にご確認ください。