解説 > リスクアセスメント > 見積もり方

リスクの見積もり方

リスクアセスメントの手順のうち、けがの重さ(重篤度)、起こりやすさ(可能性)、危険に近づく頻度を点数にして、リスクの大きさ(Ⅰ〜Ⅳ)を見積もる方法です。点数の表と、改善前・改善後の例があり、点数を選んで試すこともできます。

最終更新日:2026年10月19日

見積もりの方法

指針は、見積もりの方法を1つに決めていません。指針の本文は、組み合わせの表を使う方法や、点数にして足したり掛けたりする方法などを挙げています。ここでは、厚生労働省のサイトに掲載されている「リスクアセスメント評価基準(例)-安全編-」の、3つの点数を足す方法(加算法)を紹介します。

見積もりは、危険を洗い出したあとの手順です(リスクアセスメントの手順)。見積もったら、リスクの大きいものから対策を決めます(対策の優先順位)。

3つの点数

① 重篤度(けがの重さ)
区分点数目安
致命傷10死亡、失明、手足の切断などの重篤な災害
重傷6骨折など長期の療養が必要な休業災害、障害が残るけが
軽傷3上記以外の休業災害(医師による措置が必要なけが)
軽微1表面的な傷害、軽い切り傷や打撲(赤チン災害)
② 発生の可能性
区分点数目安
確実である6かなり注意力を高めていても災害になる
可能性が高い4通常の注意力では災害につながる
可能性がある2うっかりしていると災害になる
ほとんどない1通常の状態では災害にならない
③ 危険性・有害性に近づく頻度
区分点数目安
頻繁4毎日、頻繁に立ち入ったり近づいたりする
時々2故障、修理・調整などで時々立ち入る(週1回〜月1回)
ほとんどない1立ち入りや接近はめったにない(年1回程度)

リスクレベル

リスクレベル(①+②+③ の合計=リスクポイント)
レベル合計意味
Ⅳ12〜20直ちに解決すべき問題がある
Ⅲ9〜11重大な問題がある
Ⅱ6〜8多少問題がある
Ⅰ3〜5必要に応じて低減措置を実施すべきリスク(残っているリスクに応じて、教育や人の配置を考える)

点数は、対策の優先順位を決めるための目安です。点数が低くても、安全が保証されるわけではありません。

評価基準(例)には、重傷 6 + 可能性がある 2 + 時々 2 = 10 点(Ⅲ)という計算例が載っています。

業種によっては、同じ点数でも目安の書き方が違う表が使われています(たとえば職場のあんぜんサイトの「自動車整備業におけるリスクアセスメントのすすめ方」では、頻度を「1日に1回程度」「週に1回程度」「半年に1回程度」と表しています)。社内で決めた表があれば、それに合わせてください。

見積もりの例(改善前と改善後)

見積もりの例(改善前)

倉庫の通路の曲がり角で、台車を押す作業者と歩行者が出合い頭にぶつかるおそれがある。

  • 重篤度:台車に足をひかれて骨折するおそれがある → 重傷 6
  • 可能性:角の先が見えず、ふつうに注意していてもぶつかりうる → 可能性が高い 4
  • 頻度:毎日何度も通る → 頻繁 4

合計 14 点で Ⅳ。そこで、歩行者通路を柵で台車の通路と分け、曲がり角にミラーを付けました。

改善後の見積もり

  • 重篤度:台車にひかれたときのけがの重さは変わらない → 重傷 6
  • 可能性:柵で台車と人が分かれ、角の先もミラーで見える → ほとんどない 1
  • 頻度:毎日何度も通ることは変わらない → 頻繁 4

合計 11 点で Ⅲ。下がったのは「可能性」だけで、けがの重さと通る回数は変わらないため、Ⅳ から Ⅲ への下がり方です。まだ「重大な問題がある」段階なので、台車の速さを決める、柵の切れ目(人が横切る場所)を減らすなど、対策の優先順位に沿って対策を続けます。

点数を選んで、試してみる

上の表と同じ点数です。3つを選ぶと、合計でリスクレベル(Ⅰ〜Ⅳ)が出ます。はじめは上の見積もりの例(改善前)の点数(重傷 6・可能性が高い 4・頻繁 4)が入っています。改善後の点数(重傷 6・ほとんどない 1・頻繁 4)も試してみてください。

重篤度けがの重さ
可能性発生の可能性
頻度危険に近づく頻度
Ⅳ 6 + 4 + 4 = 14 点 直ちに解決すべき問題がある 中止または改善

表示は目安です。最終的な判断は、事業場で行ってください。

見積もるときの注意

  • 対策後に重篤度を下げすぎる。注意喚起や教育では、起きたときのけがの重さは変わらないことが多いものです。重篤度が下がるのは、危険そのものが小さくなったときです。
  • ひとりで決めない。指針は、作業をよく知っている職長などに、危険の洗い出しや見積もりをしてもらうよう示しています(だれが行うか)。
  • 見積もって終わりにしない。対策をとったら見積もり直して、リスクが下がったことを確かめます(対策の優先順位)。

安全ヨシでは

  • 標準評価は、このページの評価基準(例)と同じ表です。重篤度(アプリでは「重大性」と表示します。10・6・3・1)、可能性(6・4・2・1)、頻度(4・2・1)を選ぶと、合計でⅠ〜Ⅳを表示します。会社で ○△× 方式を使っている場合は、最初の設定で選べます(あとから変えることはできません。○△× 方式はⅠ〜Ⅲの3段階です)。
  • 重大性の選び方を助けます。想定される傷病を選ぶと、推奨の点数を示します。推奨と違う点数にしたときは、理由をメモに残すよう案内します。
  • 対策の前と後を見くらべられます。委員会の資料の PowerPoint では、リスク評価を1件ごとに「対象・現状の評価・対策案・対策後」のスライドにします。

App Store で近日公開

出典

  1. 厚生労働省「危険性又は有害性等の調査等に関する指針」(2006年3月10日、別添1)
    https://www.mhlw.go.jp/houdou/2006/03/h0310-1a.html
  2. 同 別添2(リスクの見積もりと優先度の設定の例)
    https://www.mhlw.go.jp/houdou/2006/03/h0310-1b.html
  3. 厚生労働省 掲載資料「リスクアセスメント評価基準(例)-安全編-」
    https://www.mhlw.go.jp/content/11300000/001414141.pdf
  4. 厚生労働省 職場のあんぜんサイト「自動車整備業におけるリスクアセスメントのすすめ方」リスクの見積り(業種別の表の例)
    https://anzeninfo.mhlw.go.jp/risk/seibi08_05.html

見積もりの例は、説明のために作ったものです。点数の表は一例なので、社内で決めた表があれば、それに合わせてください。個別の事業場で法令上どのような対応が必要かは、所轄の労働基準監督署や専門家にご確認ください。