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衛生管理者と安全管理者のなり方

常時50人以上の事業場では衛生管理者を選び、業種によっては安全管理者も選びます。どちらも、なれる人が法令で決まっています。衛生管理者は国家試験の免許で、第一種と第二種があり、業種によってどちらでよいかが変わります。安全管理者は、学歴と実務の経験と研修で決まります。

最終更新日:2026年10月18日

2つをくらべる

項目衛生管理者安全管理者
選ぶ事業場すべての業種で、常時50人以上の事業場製造業・建設業・運送業・旅館業など、決められた業種で常時50人以上の事業場(業種の一覧)
なれる人衛生管理者の免許を持つ人(主に国家試験に合格して取る)。医師、歯科医師、労働衛生コンサルタントなども学歴に応じた年数の「産業安全の実務」の経験があり、安全管理者選任時研修を修了した人。労働安全コンサルタントも。国家試験はない
人数事業場の人数に応じて1〜6人以上人数による決まりはなく1人以上。業種と規模によっては専任が必要
主な仕事衛生に関する技術的なことの管理。少なくとも毎週1回、作業場を巡視する安全に関する技術的なことの管理。作業場などを巡視し、危険のおそれがあれば直ちに防止の措置をとる

どちらも、選ぶ必要が生じた日から14日以内に選び、所轄の労働基準監督署長に報告します(選んだら)。人数ごとの決まりの全体は人数で変わる決まりにまとめています。

衛生管理者のなり方

衛生管理者になれるのは、次の人です(労働安全衛生規則第7条・第10条、衛生管理者規程第1条)。

  • 第一種衛生管理者免許、第二種衛生管理者免許、衛生工学衛生管理者免許のどれかを持つ人
  • 医師、歯科医師、労働衛生コンサルタント
  • 学校の先生のうち、保健体育か保健の中学・高校の教員免許状、または養護教諭の免許状を持ち、学校に常勤で勤めている人
  • 大学・高専で保健体育の科目を受け持つ、常勤の教授・准教授・講師

多くの会社では、社員が衛生管理者の免許試験を受けて免許を取ります(保健師や薬剤師など、試験を受けずに申請で第一種の免許を受けられる人もいます)。

  1. 受験資格を確かめる労働衛生の実務の経験が必要です。主なものは、大学・短大・高専を卒業して1年以上、高校を卒業して3年以上、学歴を問わない場合は10年以上です。このほかの学歴にも年数が決まっています。勤め先の事業者に、実務の経験を証明する書類(事業者証明書)を書いてもらいます。
  2. 試験を受ける試験は、公益財団法人 安全衛生技術試験協会が、全国の安全衛生技術センターと出張試験で行っています。申し込みは、受けたいセンターにします。出張試験は申し込み先と締め切りが地域ごとに違うので、日程とあわせて協会のサイトで確かめます。
  3. 免許を申請する合格したら、合格通知書などを付けて、東京労働局免許証発行センターに免許を申請します。どこの地域で受験しても申請先は同じで、郵送(簡易書留)で送ります。センターに受付の窓口はありません。この手続きをしないと免許証は届きません。試験を受けずに申請できる人(保健師など)は、住んでいる地域の労働局に申請します。

衛生管理者は2つある:第一種と第二種の違い

衛生管理者の免許には、主に第一種と第二種があります(ほかに衛生工学衛生管理者があります。常時500人を超え、坑内労働や、高熱・放射線・粉じん・異常気圧・有害物のガスなどを扱う業務(労働基準法施行規則第18条第1号・第3〜5号・第9号)に常時30人以上が従事する事業場では、衛生管理者のうち1人をこの免許を持つ人から選びます)。どちらでよいかは、事業場の業種で決まります(労働安全衛生規則第7条第1項第3号)。

事業場の業種選べる人
農林畜水産業、鉱業、建設業、製造業(物の加工業を含む)、電気業、ガス業、水道業、熱供給業、運送業、自動車整備業、機械修理業、医療業、清掃業第一種または衛生工学衛生管理者の免許を持つ人(医師・歯科医師・労働衛生コンサルタントなども可)。第二種ではなれません
上のどれにも当たらない業種(卸売・小売業、金融・保険業、情報通信業など)第一種・第二種・衛生工学衛生管理者の免許を持つ人(医師・歯科医師・労働衛生コンサルタントなども可)

上の段の業種は、有害な業務とかかわることが多い業種です。そのため、試験も第一種には有害業務の科目があります。

試験科目問題数
第一種労働衛生(有害業務に係るもの・それ以外)、関係法令(有害業務に係るもの・それ以外)、労働生理44問
第二種労働衛生(有害業務を除く)、関係法令(有害業務を除く)、労働生理30問

試験時間はどちらも3時間です。合格するには、科目ごと(第一種で有害業務とそれ以外に分かれる科目は、それぞれ)に40%以上、全体で60%以上の得点が必要です。

迷ったら:第一種なら、どの業種の事業場でも衛生管理者になれます。異動や事業の変化を考えて、はじめから第一種を受ける会社もあります。自分の事業場がどちらの業種に入るか迷うときは、所轄の労働基準監督署に確かめてください。

第二種から第一種をめざすとき

第二種の免許を持っている人は、特例第一種衛生管理者免許試験を受けて第一種を取れます。製造業などの事業場に異動する、会社が新しい事業を始める、といったときにも役立ちます。

  • 科目は2つだけ:有害業務に係る「労働衛生」と「関係法令」(各10問)。労働生理は出ません。
  • 試験時間は2時間です。
  • 受験資格の証明は要りません。申し込みに第二種衛生管理者免許証の写しを付けます。
  • 合格したら、ほかの免許試験と同じように、東京労働局免許証発行センターに第一種の免許を申請します。

安全管理者のなり方

安全管理者は、次の業種で常時50人以上の労働者を使う事業場で選びます(労働安全衛生法施行令第2条・第3条)。

林業、鉱業、建設業、運送業、清掃業、製造業(物の加工業を含む)、電気業、ガス業、熱供給業、水道業、通信業、各種商品卸売業、家具・建具・じゅう器等卸売業、各種商品小売業、家具・建具・じゅう器小売業、燃料小売業、旅館業、ゴルフ場業、自動車整備業、機械修理業

安全管理者には国家試験がありません。学歴に応じた年数の「産業安全の実務」の経験があり、安全管理者選任時研修を修了した人がなれます(労働安全衛生規則第5条、昭和47年労働省告示第138号)。

学歴産業安全の実務の経験
大学・高専の理科系統の課程を卒業2年以上
高校の理科系統の学科を卒業4年以上
大学・高専の理科系統以外の課程を卒業4年以上
高校の理科系統以外の学科を卒業6年以上
学歴を問わない7年以上

どの場合も、経験に加えて安全管理者選任時研修の修了が必要です。職業訓練の課程を修了した人にも、別に年数が決まっています。労働安全コンサルタントは、研修なしでなれます(2006年10月1日の時点で、安全管理者として2年以上の経験があった人などには、研修についての経過措置があります)。

「産業安全の実務」は、安全を専門にする業務だけでなく、生産ラインの管理の業務なども含めてよいとされています。安全管理者選任時研修では、安全管理、安全教育、関係法令を学びます。各地の労働基準協会などが開いています。

選んだら

  • 14日以内に選ぶ。人数が50人以上になったときなど、選ぶ必要が生じた日から14日以内です。
  • その事業場に専属の人を選ぶ。2人以上選ぶ場合で、その中に労働安全コンサルタント(安全管理者)や労働衛生コンサルタント(衛生管理者)がいるときは、そのうち1人は専属でなくてもかまいません。
  • 労働基準監督署長に報告する。選んだら、遅滞なく所轄の労働基準監督署長に、電子申請で報告します。安全管理者は研修を修了したことの、衛生管理者は免許などの証明(写しのデータ)を添えます。
  • 衛生管理者の人数。50〜200人は1人、201〜500人は2人、501〜1,000人は3人、1,001〜2,000人は4人、2,001〜3,000人は5人、3,001人以上は6人以上です。
  • 専任が必要な場合。衛生管理者は、1,000人を超える事業場などで少なくとも1人を専任にします。安全管理者は、建設業・有機化学工業製品製造業・石油製品製造業は300人以上、ほかに500人以上・1,000人以上で専任が必要な業種があり、それ以外の対象業種でも2,000人以上で過去3年間の休業1日以上の死傷者が100人を超える事業場では、1人を専任にします(労働安全衛生規則第4条)。

選んだあとは、衛生管理者は少なくとも毎週1回、作業場を巡視します(衛生管理者の職場巡視)。安全管理者は、作業場などを巡視し、危険のおそれがあれば直ちに防止の措置をとります。事業者は、安全管理者に安全の措置をとる権限を与えます(労働安全衛生規則第6条)。

進め方の工夫

次は法令の決まりではなく、続けやすくするための工夫です。

  • 50人に近づいたら、早めに受験する人を決める。実務の経験を確かめ、申し込み、合格、免許の申請までには時間がかかります。
  • 2人目も育てておく。1人だけだと、異動や退職で欠けたときに困ります。
  • 巡視の記録を残す。選んだあとの毎週の巡視は、記録に残してはじめて示せます。

安全ヨシでは

  • 衛生管理者の巡視を記録できます。事業所の設定で役割を「衛生管理者」にして巡視を記録すると、月ごとの「衛生管理者職場巡視結果報告書」(Excel)にできます。指摘がなかった巡視も「指摘なし」として残せます。
  • 産業医への情報提供にも使えます。衛生管理者の巡視の回数と指摘、講じた措置を集計した「産業医への情報提供書」(Excel)を作れます。

App Store で近日公開

出典

  1. e-Gov 法令検索「労働安全衛生規則」(第4条〜第7条、第10条、第11条)
    https://laws.e-gov.go.jp/law/347M50002000032
  2. e-Gov 法令検索「労働安全衛生法施行令」(第2条〜第4条)
    https://laws.e-gov.go.jp/law/347CO0000000318
  3. 厚生労働省 法令等データベース「労働安全衛生規則第五条第三号の厚生労働大臣が定める者」(昭和47年労働省告示第138号)
    https://www.mhlw.go.jp/web/t_doc?dataId=74007000&dataType=0&pageNo=1
  4. 厚生労働省 法令等データベース「衛生管理者規程」(昭和47年労働省告示第94号)第1条
    https://www.mhlw.go.jp/web/t_doc?dataId=74008000&dataType=0&pageNo=1
  5. 公益財団法人 安全衛生技術試験協会「第一種・第二種衛生管理者の紹介」
    https://www.exam.or.jp/introduction/h_shokai502/
  6. 東京労働局「労働安全衛生法に基づく免許 よくある質問」(郵送・簡易書留、発行センターに窓口がないこと)
    https://jsite.mhlw.go.jp/tokyo-roudoukyoku/…/ae-menkyo/QandA.html
  7. 埼玉労働局「労働安全衛生関係免許の申請手続きのご案内」(試験合格後は免許証発行センター、試験を受けない申請は住所地の労働局)
    https://jsite.mhlw.go.jp/saitama-roudoukyoku/…/menkyo-tetsuzuki28.pdf
  8. 愛知労働局「免許の試験免除」(試験を受けずに衛生管理者の免許を申請できる人)
    https://jsite.mhlw.go.jp/aichi-roudoukyoku/hourei_seido_tetsuzuki/anzen_eisei/2017-09-003.html
  9. 公益財団法人 安全衛生技術試験協会「合格後の手続き」
    https://www.exam.or.jp/h_tetsuduki/
  10. 千葉労働局・各労働基準監督署「安全衛生管理体制」(「産業安全の実務」の範囲、安全管理者選任時研修、選任報告)
    https://jsite.mhlw.go.jp/chiba-roudoukyoku/…/anzeneisei_kanrisya_CHIBA.pdf
  11. 厚生労働省 掲載資料(安全管理者選任時研修の科目と範囲)
    https://www.mhlw.go.jp/bunya/roudoukijun/anzeneisei14/dl/080201c_0002.pdf

このページは一般的な決まりの整理です。業種の区分や資格の細かな要件など、個別にどう扱われるかは、所轄の労働基準監督署や安全衛生技術試験協会にご確認ください。